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“前提”を間違えれば

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色々なものには、

前提

があります。
例えば、女性に人気の腰ではくジーンズは、それらしいライフスタイルが前提にあります。あのスタイルで、

自転車に乗る
道ばたで座り込む

なんてことは、美的に言ってもこの前提を壊しています。
あのジーンズを初めて開発した人は色々な説がありそうですが、僕の友人のまた友達で、デザイナーをやっていた女性が初めてだったと言われています。バリバリのカリフォルニア(L.A.)のライフスタイル。
だから、移動手段としての自転車や、道ばたで座り込むというアクションは、前提を外れているわけです。
ファッションというのは、着ているもののことを差すわけではありません。

それを着た、全ての雰囲気 = ファッションです。

どんなに着ているものが最新であっても、流行の最先端であっても、

着方がかっこ悪ければ、センスが悪いのです。
つまり、そのファッションの前提を外れていたら、かっこ悪い。

体がそれなりに鍛えられていることも、“着こなす”前提の一つだとも思います。
あくまでも、 着こなせていて、かっこいい! という高いレベルの話ではありますが。
僕は特にファッションに興味があるわけではありませんけど、前提について考えていくと壁があるのです。

マーケティングの勉強をしていると、高齢者を対象顧客として設定する場合、

高齢者は、自分のことを高齢者だと思っていない

だから、爺さん婆さんのイメージで売ろうとすると失敗する、という考え方があります。若々しさを売るわけです。それは当然です。

アンタは歳だから、これ着とけ。

これでは、人を幸せにすることはできませんから、そんなものを売っている会社は消えた方がいいです。

でも、先ほど言ったようにファッションには、前提というものがあるわけです。
例えば、20代の筋肉の張りと、しなやかさを前提としたファッションを、

私は若作りで、オシャレ

を自認している40代の人が着ていると、相当な客観的な視点からの自信がない限り、周りの人はコメントに困ります。
こういう人は、

「若い子と同じ服を着こなしているつもり」

になるのが、若作りだと勘違いしているため、周りの人は怖くて本当のことは言えないのです。唯一親だけは言ってくれるかもしれませんが、そんな時は親子げんかに発達するのは目に見えています。
僕らが映画を作るとき、キャストを決める時は、やはりふさわしい前提があります。

20歳?23歳に見える方

というオーディション告知をすると、18歳から50歳までの 「私は20代に見えるはず」 という人が応募してきます。もちろん、ドンぴしゃのレンジに入っている人がほとんどですけど、やっぱりそこから外れると苦しい。若い方に外れているのは、あどけなさ過ぎたりという別の苦しさがあります。
プロの役者で、鍛えているのにもかかわらず、その年相応の雰囲気がやっぱり分かってしまうわけです。

ある女流作家が言っていました。

インテリジェンスの高い人は、歳を取るほどシンプルな服装になっていく。

こうあるべきだと思います。
年相応の薄暗いファッションをせよという堅苦しいことを言っているわけではないのです。
年相応の雰囲気を、年相応の落ち着いたファッションに活かすことが出来るか出来ないか?
そこもとても大切だと思うのです。

長年生きてきた前提

これがあるファッションは、どんなに格好良くても20代の子には真似出来ません。
時の流れに逆行して、少しでも若く見せることに価値があると考える人は、何とか姉妹のように、

妖怪

のようになっていくだけです。
世の中、“前提” を見誤った時ほどみっともないものはありません。

例として女性のファッションをあげましたが、男の視点から見ている話しであり、ファッションライターでもなんでもありませんから、納得いかない場合は軽く無視してください。(笑)

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