ルイスと未来泥棒
という映画をDVDで見ていて、僕のアメリカで世話になった老いた友人の息子さんの話を思い出しました。
僕はてっきり本当の息子だと思っていたら、
「彼は、ドイツで捨てられた子でね。かわいそうな兄妹だったんだ」
もちろん、誰彼構わずこういうことを教えているのではなくて、相当年月が経ってから聞いたことです。
息子は僕と同じくらいの年齢で、奥さんと子どもが二人。
ドイツにいたアメリカ人将校と、あるアメリカ人女性が不倫関係になり、子どもを二人もうけたのに、将校がプイと本国に帰ってしまった。信じられないことに、この女性も子どもを残して帰国してしまい、子ども達は置き去りになったのだとか。このアメリカ人は二人ともどこへ行ったのか分からないという、映画のような話。
詳しいことは深く聞いてませんが、そんな話でした。
その二人を僕の友人が養子縁組して育てたのです。彼は、
「世の中には、こんなかわいそうな人生を送っている子ども達がいくらでもいる。もっと、みんなが助け合えればいいのに」
と涙を流していました。
離婚が多い国であると同時に、ハリウッドスター達も普通に子どもを養子縁組して育てていたりするのがアメリカ。そして、その家庭の子は、愛情いっぱいの家族を持つと同時に、
一人だという自覚から出てくる独立心
がとても強いのだとか。だから、愛情はいっぱいに受けながら、一人でも生きていける力を養っているわけです。
ある意味、今の子ども達にとって必要な力が二つ備わるわけです。
他人の子を二人も育て上げて、もうあと数人助けたかったと言っている僕の友人。
僕がいつまでも謙虚で居続けたいと思うのは、僕の友人達の中には信じられないほどの苦労を背負いながらも、他人を助けてその上、謙虚で物静かな人が多いためかもしれません。
誰にも偉そうにする権利なんてないのです。
ここまで献身して、なおも自分のやっていることを普通だとサラッと言えてしまう人が山ほどいる。
僕はどこまでいってもこの老人ほどの行動がとれるような立派な人間になれる自信がないです。
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