僕の愛読書に、
「白昼の死角」 高木彬光著
があります。詐欺師の話です。文庫本なんだけど、ちょっと分厚い。
光クラブ事件を題材にしたストーリーで、僕はこの本に出てくる主人公がとても好きなのです。
強靱な精神力で、大がかりな詐欺を大胆不敵にやってのける。ところが、ストーリーの最初では主人公はある人物の部下なのです。
天才と呼ばれたその男は、以外に精神がもろく、ストーリー前半で自分の事務所に放火して自殺してしまいます。
ところが、他の仲間達は主人公が凄い才能を持っていることを見抜いていて、彼をリーダーにします。そして、大型の詐欺を繰り返すんです。
読んでいて緊張します。
見つかったらどうするつもりだ?
今バレルか、今バレルか?
そんなことばかり考えてハラハラするのですが、当の主人公は平気です。
ネタバレするといけないので、これ以上は書きません。
僕は悪いことができません。当然です。
この人みたいなことをしていたら、眠れないどころか即時精神に異常をきたします。
だから悪いことをしないのだ、というと語弊がありますが。
そうして考えてみると、最近起きている事件の犯人は、
悪いことを平気でできる人
ではなくて、むしろ、
悪いことをしてしまった自分が怖くて、犯罪を繰り返している人
なのかもしれません。
どこかに別の小さな“悪事”があって、その発覚を恐れるあまり、もっと大きな犯罪を犯してしまったのかもしれません。
そして、悪いことを本当に何とも思わない人の犯罪は、僕らの目には触れないところに隠し通されていくように感じます。そして、当然裁かれないわけです。
本当の悪人は僕らに見えないところにいる
今、自分が起こした小さな悪事におびえている小心者に、僕は同情します。
こういう人が、しかるべきところへ相談に行ったり、助けを求めるようにすれば、事件の多くはその人が自分の行いに責任を取るだけで終わるのに。
悪いことはいつか償わなければならないのです。
だから、悪事がばれることにおびえているのなら、今すぐに警察にいった方がいい。
二度と娑婆の空気を吸えないような犯罪を犯す前にそうしてほしいです。
って、僕が何かの犯罪者に訴えかけてるような文章になってしまいましたが、少し寝不足で夢見がちに書いているからか。(笑)
ちなみに「白昼の死角」は白黒時代に映画化されていて、こいつもかなり面白いです。
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