気持がダウンしたとき、人から
「頑張れ」
と言われても役に立つことはありません。頑張れと言われて気持がアップするのであれば、その悩み自体が大したことないという証拠でもあります。
以前、精神的に本当に辛いときがあって、何か助けになる言葉を求めてヴィクトール・フランクルの 「夜と霧」 を読みました。その中に、収容所に入った日、仲間が自分たちの建物に来て、
「何を置いてもひげを剃れ。ひげが生えていては病人に見える。病人はガス室送りだ」
と教えられたそうです。人々は大好きだったタバコも全てやめて、ひげ剃りの代金として使ったという話。
これは、収容所という特殊な環境で、“働ける”という価値がなくなると殺されるという意味の言葉です。
でも、気分がダウンした時にも大切なことだと思いました。
当時の僕は、ひげを剃る気力もなく、無精ひげのまま。
食欲もなくて、眼窩が落ちくぼんで、まさに病人という感じだったそうです。
励ましてくれた友人には、「ずいぶんやつれたね」 と言われるほど。
鏡の前に立つと、自分の顔がとても陰鬱に見えました。
見ているだけで、更に気持がダウンします。
「夜と霧」 を読んで、状況は少し違えど、ちょっとひげを剃ってみようかという気持になりました。
20分ほどかけて、念入りにひげを剃ってみたら、僕の顔を陰鬱にしていたのは、単純に
ひげ
でした。(笑)
無精ひげがなくなって、さっぱりした自分の顔は、まぶたに力がないくらいで、元気なときと変わりない。
それに気付いたら、食欲が出てきて数日ぶりに唾液が出てきました。それまでは、何も食べる気が起きず、無理して口に食べ物を入れても唾液すら出てこなかったのです。モサモサと噛んでいるうちに、気分が悪くなってきて、結局食べることができない。
でも、ひげを剃ったことを切っ掛けに、
「悩んでいることは足踏みをしながらバックすることと同じ」
と気付いて、初めて問題に対して前向きに挑んでいこうという気になったのです。
その後は、人の言葉は必要ありません。
やれることを一つ一つやるだけ。
目の前に出てきたことを、一つ一つこなしていくだけ。
いつのまにか今に至ります。
どんな問題も、気持を切り替える切っ掛けを積極的に取り入れることで変わります。
悩むことを選んで、その選択を変えようとしなければ、人間はその通りどん底まで悩むだけです。
男なら、とりあえずひげを剃る。
歯を磨く。
女性なら・・・・ なんだろう。分かんないなぁ。化粧とか?(笑)
何でもいい、それがスタートになればいいんです。
こういうモーティベーション論は安っぽいと感じますか?
本当に追い込まれると、シンプルなことほど有効みたいです。
さあ、今日も楽しむのだ。(笑)
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