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一生会わない人達

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6歳の頃、タイに引っ越すことになりました。
当時は、何ヶ月も前から予防注射をして、パスポートを取って、1年生の春休みに飛行機に乗りました。

6時間ほど飛んで、下に陸地が見えてきたときの不思議な感覚を今でも覚えています。
陸地には所々に集落があって、僕の知らない人々が住んでいるのです。
少々失礼ではありますが、幼い僕は、

「こんな所にも人が住んでる。
僕が日本で暮らしていた間にも、ここで全然知らない人達が生きてたんだ」

と感動しました。そして、

「この下に生きてる人達と僕は、どこかで出会うことがあるのかな?」

とも思いました。
ロサンゼルスの上空を初めて飛んだときも同じように感じました。
その時は、誰一人知らない未知の場所だったのです。
それなのに、今は未知だった場所に大切な友だちがたくさん住んでいる。
そして、今も生きているのです。30年前に飛行機から見たタイの人達も同じです。

これが出会いです。

一度は、離陸してから下を見ると、友人の住んでいる地域が見えたので、飛行機から電話してみました。友人はちょうど家にいて、外に飛び出して僕の乗った飛行機を見上げ、僕は地上を見下ろしながら電話で話したことがあります。「なんだか、不思議だなぁ!」と二人で言い合いました。

街を歩いているといつも思います。

「僕と一度でもすれ違ったことがある人に再度接近したら、その人達の体が光って

会ったことがある人だ!

と分かる能力があったらいいのに」

会うというと語弊がありますが、出会ったというか、“近くに居たことがある”と分かる能力。
それから、出会った時期によって色が変わって見えるとか、出会った距離によって輝きが違って見えるとか。なんか、テルミンみたいだな。(笑)

だからどうってことはないですが、街を歩いていて、

「あ、あの人とは10年前にどこかですれ違ったんだな」

なんて、見えたらいいと思います。
どれくらいの人が、輝いて見えるんでしょう。

毎日だったら鬱陶しくなってしまうだろうけどな。(笑)

全く知らない人と、今までに何度もすれ違っていたとか、意外なことが分かりそうです。
となると、街行く人が単なる他人に見えなくなります。

その中の誰かと知り合いになることだって100%ないとは言い切れないのです。
だから、失礼があってはいけないはず。

ミヤンマーと中国の災害ニュースを新聞で読みながら、ぼんやり考えていました。
写真に写っている人達は、何十年もそこで生きて、泣いたり笑ったり良いこと悪いことをしたりしているわけです。

でも、ひょっとしたら、その写真の中に輝いて見える人がいるかもしれません。
どこでどんな風にすれ違ったのか。
ミヤンマーの人に、30年も前のタイですれ違っているかも。

出会い、すれ違いが見える能力があったら、遠い国の災害も他人事に思えなくなるかもしれません。

とかいって、運転しててあまり危ないのがいると

「こんにゃろ?!!」

ってホーンをぶちかます僕もここには同居してるわけです。(笑)
妻には、“早撃ちのパパ” と言われています。
これじゃいかんね。(^_^;)

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