Home » 株式投資と鑑定団と天気予報

株式投資と鑑定団と天気予報

 | 

家に眠るお宝を鑑定するテレビ番組を何年ぶりかに見ました。
あの鑑定士達というのはどうやって勉強というか修行をしてきたのでしょうか。

うっとりするような知識の豊富さです。
あの方達の周囲の人の中には、

「あんないい加減な親父おらんぞ」

という人だっているのでしょうが、知らない僕らから見ると純粋にあれだけの知識を頭の中に収めていることが凄いと思う。例えシナリオがあったとしても、あれだけ聞かせてくれるわけですから落語家なみの話術です。芸じゃなくても、あれだけの食べ物を腹の中に収められるギャル曽根さんも同様に恐ろしい。あれを人に見せる是非は別として。(笑)

あの鑑定士の前で、素人の方々が自分のお宝についてウンチクをするのを見て、僕が思い出すのは、

株式投資(投機)

です。

株式投資は誰にでもできることではありますが、雑誌の別冊記事なんかをサラッと読んだり、「あなたもできる簡単株式投資」のような本を読んで、いっぱしの投資家になってしまった気分の方達がどんな危険にさらされているか。

言ってみれば、中島誠之助さんと骨董の目利き対決をするようなものです。
偶発的な“勝負!”に勝つことはあるかもしれませんが、長期的に見た場合、付け焼き刃の知識で勝ち目はほとんどありません。

簡単にできる事で、価値のあることは全然ありません。

根強い人気のチャート分析による株式入門書は、僕の頭の中では天気予報と同じ。

空を見て、

「何となく雨になりそう」

というのが、素人の株式投資とするならば、プロの視点は、

人工衛星や各国の観測地点からのデータを照らし合わせて未来予想を立てる

これくらいの違いがあります。
空を見て当てずっぽうでやってる天気予想と、国家レベルで行っている気象に関する研究は、どこまでいっても同レベルにはなり得ません。

今、ファイナンシャルリテラシーという言葉が流行って、子供に株式投資を教えたいという希望が英会話を追いかけているようです。

馬鹿馬鹿しい。

結論から言えば、その方向で才能を発揮する恐ろしい小学生の出現の可能性は多いにありますが、ごく少数でしょう。

その経済知識という皮の下に見えるのは、

「一攫千金」
「濡れ手に粟」

という言葉です。とても“経済知識をつけて、お金に賢くなろう”という視点ではありません。

これは、単純に“出し抜きの教育観”です。

正常な株式投資が成り立つ最低条件は、

社会によい価値を提供する企業 (個人)
その企業で働く人
そのサービスや品物を買って喜ぶ人
その3者が喜ぶ姿を見て投資する投資家

という4者が必要です。

みんなが働かず“投資家”になってしまったらどうなるか?
経済が動かないので、投資する場所がありません。

企業は株主を見て仕事をするようになりますから、目先のことでバタバタします。働く人も経営者の心変わり、経営者の入れ替わりに翻弄されたり、自分が持つ株価が気になって仕事に集中しませんから、サービスが低下します。そのサービスを買う人は当然喜びませんから、企業の業績は伸びません。

で、企業の業績が伸びなければ給料も減りますし、投資先もなくなります。じゃあ、外国の株を買うという声も聞こえてきそうですが、

パンが無ければケーキを食べろ

という理屈に聞こえます。そういう観点から見ると、

無料会員制のホームページを作る
宣伝広告をビジネスモデルに、無料で何でも見せる

というビジネスモデルって破綻してないのかな?と思います。
収益の柱が宣伝だというホームページを巨費を投じて宣伝する???
これ、識者の方に是非教えていただきたいことです。何か凄いカラクリがあるのかと、気になって夜も眠れません。(笑)

何でも無料にすれば人は寄ってきます。
とにかく何でも無料にして頭数を集めれば宣伝広告費でビジネスが成り立つという理屈ですが、あまりにも何でも無料にしていくので、

「そこで、何の宣伝広告をするの?」

という疑問が出てきます。
どこで、誰に対しての経済価値を生んでいるのか、全く分かりません。

また、無料の物が増えるということは、

お金を使わなくてもよくなる = お金が残る

ということと勘違いしてはいけません。もっと大切なことは、人の営みは全て繋がっているわけですから、どこかで

給料も減る

ということに繋がっていくはずです。つまり、お金は減っていきます。
それを甘んじて受け入れるということは、あまり嬉しくないことのはずなのですが、目先の“無料”に大喜びをしてしまうと見えません。
その無料サイトで何らかの宣伝を見ても、お金が減ってるから購買に繋がるかどうか??
だから、宣伝する意味がどこにあるのか??
この仕組み、僕にはまったく分かりません。頭のいい人達がいるものだなと感心します。

時代に逆らっているのかもしれませんが、僕が子供に経済的な価値をおしえるのであれば、基本はシンプルです。

多くの人が喜ぶ高い価値を、世の中に提供できる人になる

僕に“ファイナンシャルリテラシー”が無さすぎるのかもしれませんが、

プロの鑑定士と目利き大会

をやっているような、安易な株式投資への参加を端で見ていて、どうしても納得いかない危うさを感じています。

僕には知識が全然足りないのでここに書いたことは皮肉ではありません。
純粋な疑問です。
識者の方、是非教えていただきたいです。

こんな記事もあります。

勝ちだの、負けだの、くだらない on June 17th, 2008

エリート教育が始まる on October 19th, 2007

世の中からサドルティーが消えていく on December 11th, 2007

自己啓発本を評価する愚 on June 23rd, 2008

自分の首を絞める on August 17th, 2007