僕が学生だった頃、とても驚いたことがあります。
ウクライナからの移民と同じ教室で授業を受けていた時のことです。英文学のクラスでした。新学期が始まり、必要な教科書を購入し1か月経ちました。
なんと、ウクライナ人の生徒達が教科書を買ってこないのです。
どうやって授業を受けているかというと、図書室で毎週借りてくる。面倒くさいことをやっているわけです。
もちろん図書室に同じ書籍が複数置いてあるということはないので、方々の図書室から借りてくるのです。本にスタンプが押してあるのでよく分かりました。
あるとき教授が質問しました。
「あなた達はどうして教科書を買ってこないのだ?」
その答えは、
「この国は自由の国だ。私は教科書を買いたくないから買わないのです」
「・・・・」(O_O)
国民性というわけではなく、個人の問題です。
どこか笑い話並、けた外れ、的はずれの“自由観”です。
日本に欧米の“個人主義”が入ってきてかなり時間が経ちました。
この個人主義も、日本で勝手な解釈をうけ、別ものとして一人歩きしています。
あたかもアメリカ人は自分のことばかり考えている人種で、自分がよければ他人がどうなろうと知ったこっちゃない、というように理解されている節があります。人間関係でも、ビジネスでも。
厄介なのは、それが良いことのように考えられていることです。
外国に住んでいると、
「外国人って意外に優しいな」
と思うシーンに出くわします。
ショッピングセンターのドアは5秒待ってでも開けていてくれるし、くしゃみをすれば、見ず知らずの人から、
「Bless you!(祝福あれ)」 くしゃみをした人への決まり文句
と言われます。
その他、ボランティア、寄付などを普通の人が普通に行っています。
僕もそれに触発されて、帰国時に山ほどあった書籍を寄付してきました。電話をすれば取りに来てくれるほど、システムが整っています。
外国文化の真似すべき部分を取り除いて、快楽的な部分のみを輸入してくる悪い傾向が強まってきているように感じます。
文化的に何も根拠のない“イベント”が、欧米からだけ入ってくることも、あまり褒められたものではありません。もっと言えば、アメリカのイベントカレンダーと日本のそれが、徐々に近づきつつあります。
ハロウィーンの輸入に成功した今、次はサンクスギビングなんかも輸入するんでしょうか。まさか独立記念日はないと思うけど。
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