面白い記事を見つけました。
「天才を作るビデオ」が効果がないという話。ある意味、当たり前。
この実験で証明が出来たとも思いませんが、幼児のマルチメディア教育に対して普段から持っている疑問に、ある一つの資料を提示してもらえたという気持ちで読みました。
赤ちゃん教育ビデオに効果なし=言語習得遅れる恐れも 米大調査
英文「’Smart Baby’ DVDs No Help, May Harm」
息子が1歳くらいの頃からビデオ教材の売り込みがあったことを思い出します。入会するとぬいぐるみがもらえるとか。
・ あいさつ
・ おてつだい
・ トイレのしつけ
・ 服のたたみ方
なんでもかんでもビデオで教えてくれる。
妻は、周りの皆さんが買っているというので、何となくウチもやらなきゃというような心の動きになっていました。僕は、
「ビデオなんかなくても覚えなきゃいけないことは覚えるよ。平気平気」
と反対しました。妻の立場に立ってみれば、僕なんかより他人の子育ての情報がたくさん入ってくるわけで、そんな人の姿に接していればちょっと傾いてくるのも人情です。企業側としてはそれも折り込み済みのはずです。
僕は、こういう教材で育児の手間を省略しようとは思わなかったし、何が一番気に入らなかったかといえば、
全国標準化
されたようなビデオを見せて、子供を育てたくなかったということです。
もちろん、トイレの使い方に個性が必要か?と言われればそうではありません。それに、このビデオが教えてくれる様々な行動は、人としていつかは身につけなければならないことにはちがいありません。
でも、子供が少しずつ何か新しいことをできるようになっていく過程は、親にとっても
将来のために必要なステップ
のはずです。
いきなり数学のような難しいことを教えなければならないわけではありません。
教えることは、
トイレ
ハシの持ち方
マナー
思いやり
:
簡単なことを一つ一つしつけていく過程で、親自身が子供との関わり方を学習していくのです。
それは将来、子供に必要な“より難しい行動や思考”を助ける親になっていくために絶対に必要なステップです。
それを全て、
「わ?!こんなに便利なビデオがある!」
「うちの子もこのビデオのおかげでトイレができるようになりました」
こんなことを喜んでいる裏で何を失っているのか?
親として子供が成人するまでに身につけておかなければならない基礎を学ぶ機会
これを失ってしまうのです。言葉も分からないうちから根気よく子供と接することから学ぶ、親としての姿勢を失うのです。
たしかに、トイレやマナー等は、必ず覚えなければならないことです。
「だったら、最も効率的な方法で教えた方がいいじゃない?」
と、結果だけで考えるところに問題があります。
子育ては親が会社でやっているような“仕事”ではありません。
効率ばかりが大切なものではありません。
子育てを通じていつも思うことは、
子供が生きることの初心者であるだけでなく、親も親としての初心者である
ということです。
省いて良い手間と、悪い手間、それをしっかりと見極めなければなりません。
すると、どこからどこまで手をかけなくてはならなくて、どこからは放任しても子供が自主的にやれるのかが見えてきます。
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