「なつのいちにち」 はた こうしろう著 ISBN 978-4033313405 ¥1,050
絵描きの友人が言っていました。
「風景画の醍醐味は、その土地のカラーパレットを見つけること。
それができれば、勝ちなんだ」
何に勝つのか分かりません。
抽象的なことばかり言う人なので、よ?く考える必要があります。
人を煙に巻くのが好きなので、警戒していないとすぐ騙されます。
彼の目にはある土地に行ったとき
これがここの色!
というパレットが、
ドン!
と迫って見えるのだとか。
それ以外の色は使わない。
その土地の色以外の色を使うと、絶対にその場の感動は伝えられないのだとか。
逆に、そのパレットが迫ってこない場所には感動がないのだとか。
その場所をどんなに上手く描いてもそれは、ただの上手な絵なのだとか。
彼の絵を見ると、どんな風景でも10色も色を使いません。
それで充分なのです。
自分にはできないけど、言っていることはよくわかります。
で、この絵本。
日本の夏のカラーパレット
にドンぴしゃではまっています。
特に今30代くらいの僕ら世代とか、比較的田舎に住んでいて、昔の夏を知っている人にはこの透明感は
薬
になります。是非読んで(見て)ください。
心が癒されるとかではなく、力が湧いてきます。
なぜ子供の頃は、
汗をかくことも
息を切らすことも
ホコリまみれになることも
濁った水に脚をつけることも
ドブのヘドロも
手足が切り傷だらけになることも
蚊にさされることも
オタマジャクシの生臭さも
なにもかも気持ち悪くなかったのか?
この絵本を見て思い出しました。
子供の夏はキレイなんです。
なにがどうなっても汚れではないのですね。
大人になるとその美しさよりも、服が汚れるとか変な現実が先に立ってくるんでしょうか。
ああ、この前3000円で買ったばかりのTシャツなのにとか。
けちくさい。
絵本って全体的に高額なんですが、この「なつのいちにち」は
たったの1000円!!(1,050円)
これだけ大人の鑑賞に堪えうる絵、そして作家の優しさと自然と過去への想いがつまってこの価格は安すぎます。
僕、2000円払います!
払わせてもらえないけど。
2冊買って誰かにあげるかな。
夏、終わりましたね。
(今年まで夏は嫌いだったけど、来年から好きになることにしました。(笑))
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