こんな本を読みました。
「赤ちゃんの値段」 高倉正樹著 ISBN 978-4062134842
望まれない妊娠の末に生まれた赤ちゃん達の、養子縁組、それも海外への養子縁組の実体が書かれた本です。
人身売買に関して、日本がどのくらい遅れているのか、読んでいてガックリと力が抜けるような気持になりました。
望まれない妊娠といっても、全く愛されなかった子供達ばかりではありません。様々な事情がありどうしても育てることができず、涙ながらに養子に出したお母さんの話の例なども書かれています。
赤ちゃんポストというものができたり、養子縁組という名の人身売買が一部で横行していたり、こんなことがいつの間にか普通のことになっていくのではないかと怖くなってきます。
人はどんなことにも慣れてしまいます。
少し昔に
「やってはいけない」
と言われていたことが、いつの間にか誰でもやってることになっています。
もはや異を唱えるだけで「古い!」と笑われてしまいそうですが、
子供の髪の毛を染める
とか。
僕の子供の頃は「髪を染めるということは、不良のすることだ」なんて言われていました。それが、いつのまにか誰が一番過激かという競争をしているかのようになってしまいました。茶色い髪で就職活動をしていても、年寄りの方が、
「今は、そんなことに目くじら立ててたら誰も来ないから」
と言ってしまう有様です。
髪の色でその人が決まるわけではない
個人の自由じゃないか
という話ですけど、身近に感じる変化の例ということで。
知らないうちに変わっていくこと
には、注意していなければなりません。
常に意識を働かせておく必要があります。
一方で、人は昔より賢くなっていることも多いです。
つい100年もさかのぼれば、
人権って何?
みたいな世界だったことから考えると、現在の意識とは比較になりません。
変わることは悪いことばかりではないのです。
でも、気をつけなければならないのは、
「本当に変えてもいいものかどうか?」
見極めながら長い目で変えていくことです。
今は、変化のスピードが検証のスピードを上回ってしまっています。
不良品を大量に売ってから、あわてて回収しようにもできない。
だから、「まあいっか」と慣れることで納得してします。
家事のできない人の家が日に日に汚れるのと同じように、世間が汚れていきます。
個人の権利が守られているこの時代は、人権意識やよりよい生活への憧れ、そんなものが変化の原動力にならなくなってきています。今の基準は、
儲かるかどうか
でしょう。
かつては明文化されていなくても、法律で規制されていなくても、各人が欲望を抑え良心の力で守ってきた常識やタブーがありました。
裏をかえしてみれば、そんな欲望を解放することができれば、商売的な機会を増やすことに繋がります。そんな、かつての“聖域”を、
狩り場
に変えていこうという動きが現在のマーケティング、企業活動の一部には存在しています。
欲望を解放することが原動力となる変化は危険です。
聖域は聖域として残した方が良いことも多いように思います。
本の内容とはまったく異なる感想になってしまったのですが、読みながら“慣れること”への警戒心を呼び覚まさせられました。
この本を読んでも、僕がここに書いたような内容は一切出てきません。(笑)
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