色々な言語に触れるようになって、一番面白いと感じることは言葉の中に人間が生きてきた跡を見つけたときです。
例えば、「歯医者」や「図書館」という普通の言葉。
この言葉は、日本語だったら単純に
歯の医者だから 歯医者
図書がある建物だから 図書館
分かりやすい!
でも、ふと気がつくと英語は、
歯医者 Dentist
図書館 Library
英語で歯はTooth、本はBookだから、どこにもそれらしいものが入っていない。
どうして???
不思議です。
答えを英語の親戚のようなスペイン語に求めてみました。
まだまだ浅い僕のスペイン語の知識を使って並列比較して見てみると、スペイン語では
歯 Diente (ディエンテ)
本 Libro (リブロ)
なので、ここではじめて
Diente をする人が Dentist になり、(Art をする人が Artist と同じこと)
Libro があるところが Library と繋がってくる。
でも、ここで不思議なのはスペイン語で
本屋は、 Libreria (リブレリア) で、
図書館が、 Biblioteca (ビブリオテカ) になってしまうのはなぜ???
そういえば、大学にいるとき自分の書いてきたレポートを一年分まとめるときに作らされたのは、
Bibliography (ビブリオグラフィー) と言った。
これは、辞書で調べると“参考書目”という。
すると、本屋で売っている本と図書館に置いている本は分けて考えられてきたという背景が見えてくる。図書館には本来“参考書目”が置いてあって、普通に一般の人が読むものは置いてなかったということなのか?
と思い、もう少し足を伸ばしてみると、秘密は
Bibli- の部分にありそうです。
これは、実は「聖書の、聖書のような」というところへ繋がっていく。
そうか!
聖書は英語で Bible (バイブル) と言うじゃないか!
ということは、図書館とキリスト教は何か関係ありそうだ・・・。
・・・ここで僕の無宗教主義による無知が邪魔をしてきます。(笑)
知識というのは、壁や境界を越えて蓄えていくべき、という新たな戒めを感じます。(^_^;)
こんな風に簡単な言葉一つとっても、時間をかけて土地土地にあった形で言葉が進化してきた結果と、それに関わってきたヒトの姿が見えてくるので興味が尽きません。
先日、「いっそ全てやめてしまえ!」で言っていたことと繋がること。
僕らは、先人が進化させてきた結果の恩恵にあやかっていられるだけの存在である、かのように思ってはいけません。自分が生きている今を受動的に“結果”だと思ってしまうと、その歴史に対しての愛情が湧かない。
あくまでも今自分が持っているのはバトンであり、それを次へ繋いでいく責任があります。
最近は、
愛国心や日本語、日本らしさ
というものが、流行のようになっています。
どうも昭和ブームに通じる、懐古主義的エンタテイメントの雰囲気を感じて、本質を見失っているような気がします。
流行はいつか廃れる。言葉を大切にすることや、自分の国を想う気持ちは、“愛国心”だとか選挙の道具のように使って流行にしてはいけない大きな問題なんです。
人間関係の言葉もそうですが、言葉そのものの歴史も大切にしたいもんです。
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