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不審者情報に思うこと

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少し前から、そっぴくんの幼稚園の親の間で、ある議論が持ち上がっているようです。一部には怒っている人もいるようです。

始まりは、ある日の事件から。

幼稚園に不審者が現れたらしく、先生がすぐに携帯用警報機を鳴らし、さすまたを持って門を調べに行ったそうです。園児達は一所に集まり、園長は園内放送で日頃から訓練していた頭を守る体勢を取らせたのだとか。

結局警察を呼ぶほどではなく、その後園児達は普通に遊んだそうです。

ただ、この後で騒ぎというかうわさ話が持ち上がり、幼稚園の対応がどうだったのかというところで、意見が二つに分かれたのです。

幼稚園が、事後、親に不審者の出現を連絡しなかった。

この点について、

すべきだ
する必要はない

と。圧倒的に、連絡すべきだという親が多いのです。
僕は、後者です。

最大の理由は、

僕は、息子の幼稚園の園長先生を100%信用しています。
預けているんだから、登園から帰宅までは園長先生に委ねているわけです。
その園長が連絡しなかったのなら、熟慮の末か、連絡する基準に達していなかったのです。

だから、園長が連絡しないと決定したのなら、それが正しい。 (僕にとってはね)

外部の者が(現場にいない者という意味)がとやかく言えば、船頭が多すぎて船は沈みます。
僕は幼稚園運営の専門家ではありませんが、幼稚園に入れる前に園や園長先生の事をよく調べました。
僕ら夫婦は自分達の判断には自信をもっています。

それに、この不審者情報。実はとても難しい問題なのです。

まず、

本当に不審者だったのかどうか?
先生の行動がオーバーリアクションだと非難されてしまうことはないのか?
だったら、どの段階で警報機を鳴らすのか“適切”なのか?
物々しさで園児が怖がるかも、と行動を躊躇するようになって、本当の事件が起きてしまったら?
全員に報告するということになると、“犯人”が園児の関係者だったとしたら?
何もなかったからホッとする親だけではなく、子どもが怖がるようになった責任を取れ!という親はいないか?

何日も連続で不審者が来て、先生が警報機を鳴らし、それを丁寧に毎日報告した場合、その後、何もなかったら 「オオカミ少年だ!」 と騒ぐ親が必ずいます。園側が、オオカミ少年と批難されてしまってから、犯人が後日やってきて本当に事件を起こしたとしたら?

「本当の不審者なのか、そうではないのか見分けることくらいできただろう!」

と言う人が必ずいるでしょう。これって、とっても理不尽な言いぐさなんです。

カメラを持った変質者なら分かりやすい。
園の周りをカメラを下げて歩いていて、突然園児の写真を撮りだしたら、完全にアウトです。
今時、そんなことしている人は疑われても仕方がありません。

でもその他の場合は?
警報機を鳴らすタイミングは、包丁を視認したときですか?
門を開けて入ってきたときですか?
塀を越えて入ってきたときですか?
何らかの敵対的アクションが見られた場合ですか?

これ、どのタイミングで警戒し始めても遅いと思います。

通行人と、通りすがりにチラッと見る人。
これは、僕もやりますから、警報機鳴らされたらたまらない。 (^_^;)
これで警戒していたら、ちょっとやり過ぎです。これは誰にでも分かる。

歩いてきて、内部に興味を持って園の中を見るために止まっている人。
この辺りはもう完全に危険です。
おそらく、件の ”不審者” はこのレベルだったはずです。
男の先生がいるのなら、声をかけに行ってもいいかもしれません。声をかけに行く人と、子ども達の保護始める人と別れている場合もあるかもしれませんが、先生が動けばどうしてもそれについて回りたがる子どもがいますから、逆に危険ということも難しい問題です。

でも、この段階で警報機を鳴らすか鳴らさないかためらうところだと思います。

即鳴らしてもいいと、僕は思いますけどね。

こうして考えていくと、今回警報機を鳴らした若い先生の即断は素晴らしいと思います。

「鳴らされた人が気を悪くしたらどうしよう」
「子ども達が怖がったらどうしよう」
「むやみに鳴らすなと園長から叱られたらイヤだな」

色んな事を思ったことでしょう。
エレベーターの中に不審者と一緒に乗ってしまって暴行される女性は、

なぜエレベーターに乗ってしまうのか?

それは、相手が 「何だ失礼な。オレを不審者扱いしやがって」 と不快感をもってしまうのではないかという気遣いなのです。

今回、先生は警報機の紐を迷うことなく引き抜いたのです

つまり、その先生が属する組織(園)の中に自分の判断を尊重して行動することを妨げない、そういう風土があると見ていいわけです。現実には、この園内にも人間関係等色々あるとは思います。

でも、現場の判断を完全に尊重できる一般企業って、どのくらいあるでしょう。少し想像してみると、何か事が起こっても、よほど逼迫した状態でない限り、必ずといっていいほど、

「け、警報機のボタン押した方がいいですか?」
「そんなこと聞くなっ!早く押せっ!」
「は、はいっ!」

というやりとりが出てくるのではないでしょうか。警報機の誤報で、業務が中断した場合の損失を計算した数字なんかも出されたりしますから、警報機を押すこと自体がその責任を自分が被る恐怖に繋がります。

それらの障壁を越えて、警報機を鳴らすアクションを起こせた ということは、様々な要素が正しく働いた証拠です。

今回の問題は、子ども達が家へ帰って事件について話して、その実情が分からないために親が過剰反応してしまった点です。ちょっとおかしいヤツが園の周りに近づいてきた、警報機を鳴らしたが、勘違いのようだった。それをいちいち報告するのもバカバカしいですが、一つできることは、

状況にランク付けをする

等の方法かもしれません。
例えば、
警戒レベル 1?5は後日プリント配布、6以上は警察に通報+保護者に緊急連絡網とか。

でも報告頻度が増すと、その報告自体が面倒くさくてアクションを起こさないなんてのは、企業の中でもありますからね。報告制度が子ども達の保護の妨げになっては本末転倒です。

おそらく、一番楽なのは、通報レベル以下なら連絡無しで、月報にまとめて報告するとか、そういった方針を入園の時点で説明しておくことでしょう。

園長を100%支持するのはやぶさかでないです。でも、4月の時点で、危機対応についての方針は言っておいた方が親から疑念を持たれるということもなかったはず。ここはささっと改善しておくべきポイントかもしれませんね。

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