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大人のインチキ正義感

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子供にはできるだけ物事の根本を教えたいと思っています。

100通りの事柄に100通りの対処法を教えるのではなくて、その中にある共通の根を持明らかにしてあげて、その根本的な部分を教えたいんです。簡単に言えば、

電車の中で騒ぐこと  いけない
バスの中で騒ぐこと  いけない
お店の中で騒ぐこと  いけない

全部他人に迷惑をかけること  問題の根っこなのに、大人はついつい一つ一つの事柄について叱ってしまいます。叱らないのは言語道断なのですけれど。

子供には“共通の根”がどこにあるのか分かりません。

だから、大人の感覚で、

「バスと電車は一緒でしょ!」

というのは間違いで、バスだから云々、電車の中では云々と教えてしまったことを反省する方が早いなと思うわけです。

根っこの話で言えば、損得勘定の考え方について最近よく考えます。

今新聞をめくれば毎日出てくる不正の問題。

世の中は酷く怒っています。

でも、その怒りの方向を見ていると、

「オレ達がこんなに苦労しているのに、誰かが甘い汁を吸っているのは許せん」

これが原動力のように感じます。

危険思想です。
明日は我が身という言葉を思い出します。

テレビメディア、特に昼過ぎくらいのワイドショーは社会の怒りの方向を煽ることで視聴率を稼いでいるようですから、それを10分も見ていれば、今みんながテレビの前でどうやって怒っているのか分かります。

自分が損をして、他人が得をしていることが気に入らない

そういう感情を煽る構成です。だから企画そのものが安っぽい。

「この役人はこんな接待を受けていました。なんと一食10万円のディナーです!
今日は、皆さんにご試食いただこうとご用意しました」
「わお?!やった?♪」
「こんなの許せますか?」
「許せな?い!」(だって私が食べたんじゃないから)

ドキュメンタリーとは違いますから、社会に問題を問う構成ではありません。こんなに美味い物を税金で食っていたとは、許せん!

そんな感情で誰かを断罪したところで自分の人生は何も好転しません。
するとしたら、ちょっと憂さ晴らしができる程度です。

問題の根っこは、物事を損得で考えている社会にあるのです。

自分がイイ思い(得)をするために、不正にお金を詐取する。
自分がイイ思いができなかった(損)、だから不正を厳正に処分する。

後者は悪人ではありません。
だから批判されるいわれはないのですが、社会を構成する大部分である後者の考え方までが損得勘定で動かされていることは問題です。

問題を一つずつ解決することは大切なんですが、雑草の葉っぱを一本ずつちぎっているようなものです。根っこを枯らさなければ、また来週か、来年雑草取りをしなければならなくなります。

膨大な労力と、不要な憎悪感情ばかりが募って、後に残るのは荒れ野原ということになります。

物事の根本か。

最近の僕は悩みが多くって、悩みが多いことに悩んでいます。
ハッキリ言って悪循環。
他人からは悩みが無いように見えるみたいですが、人並みにしっかり悩んでいます。(笑)

だから、悩みの根っこを解消しなくちゃなぁと、まずは冷静になろうと努めています。
僕が今やるべきは、解決方法に悩むことであって、悩みの数に悩むことではないんですね。

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