普段から、
「日本の街並みは安っぽい家ばかり並んでみっともない。統一感がない」
そういうことを考えてました。
去年フランスへ行った時も、それを強く感じました。
「けっ!日本ってダメだな。良い文化を置いてきぼりにしてきてしまって」
よく考えてみると、この感覚には個人的な問題があります。
僕は、海外の文化を無条件に良いと考えて、
日本が景観的に劣っている証拠を集めている
というメンタリティーになっていたみたいです。
先月、ロンドンとベルギー(アントワープ・ブリュッセル)に行きました。
ロンドンの街を一日10キロほど歩いて見てきました。
石造りの整った建物
築数百年が普通という“文化”
やっぱり日本はダメだなぁ、と結果が最初から決まっている感想を持って満足していました。
ただ、ベルギーではちょっと違う印象がありました。
街が汚いんです。
確かに凝った作りの歴史的なゴシック調建造物も多くあります。
統一感といったら、数百年前と同じ整然さの中に自然にマクドナルドが入ってしまっても違和感なくまとめてしまう。
でも汚い。
ロンドンでもフランスでもなんとなくそれは感じていました。
ちょっと裏通りに入ると、ちょっと大きな街に出ると、手入れの行き届いていない場所がある。
果たして、ロンドンやフランスも本当に日本より“優れている”のか?
と少し疑問を感じ始めながら、帰国してセントレアから名鉄のミュースカイに乗って窓外を眺めているうちに日本の優れているところが見えてきました。
裏通りがない
というところ。
街のどこを見ても清潔で、生活感はありありと出ているものの、
どこを歩いても安全そう
実際は犯罪もあるし、「この頃は怖い世の中になった」と言われてはいますが、海外の街を歩く時のようなストレートな不安感はありません。街角で数人たむろしている男たちにジロジロ見られるとか、すぐに金をせびるために声をかけてくるとか、そういう心配もほぼない。
僕が帰国して最初にしたのは、息子と1時間ほどの夜の散歩です。
明かりといえば民家の玄関灯か、たまにぽつんと街灯があるだけ。
懐中電灯も無しで、子どもと二人危険も感じず歩く。
外国では無理でしょう。
海外の街並みは、確かに美しいです。
物語からそのまま抜けだしたような 景色は、羨ましく感じます。
ただ、これを維持するための費用を無視することはできません。
それから不便を承知で生きることも要求されます。
「費用は出すよ!街並みはキレイな方がいいし!」
という意見もありそうです。
でも、そううまくは行きません。
例えば海外ではある道を一本越えると、空気が変わって不安を感じます。
明るさが異なり、手入れの度合いが異なり、文明の香りが薄れる。
古い街並を美しく保つ
その努力の裏には、必ずといっていいほど
見捨てられていく場所が生まれる
ということです。
日本では地域にあからさまな差を見ることは少ないです。(現実にはあるだろうけど)
でも外国は、
移民の場所
貧しい人の住む場所
犯罪者の住む場所
そういう所は、きっちりと分けてしまいます。
道路の穴も補修しない。
そのかわり、悪の巣窟に非公式な治外法権か自治権が生まれる。
お互いに干渉しないかわりに、街並みの手入れの度合いに差が生まれます。
数百年の歴史的な街並みを広範囲に保ちつつ、治安も手に入れるのはざっくりといってしまえば
不可能
ではないか。
僕ら日本人は、
治安を捨てても街並みがキレイな方がいいか?
と聞かれたら、
安全が欲しい
と思う人が多いのではないか。明文化されているわけではないけど、いつの間にか安全で“きれいな街(美しいではなく、清潔という意味で)”を目指す国になったから、 今の日本の街並みがあるんじゃないかと。
馬込宿、妻籠宿、伊勢神宮の「おかげ横丁」みたいな街並みが日本中にあったら、それはもう面白いと思います。
でも、あの街並みもある意味現実的ではないからエンターテイメントとなりうるわけです。しかも、多大な費用を払って維持している。
日本人には、あからさまな
見捨て
の文化がないんです。
だから日本の街並みは海外に比べて
つまらない
でも、それと引き換えに
どの国も追随できない安全を手に入れている。
ということなら、僕は
この街並みは美しい
って言えるし、外国の人に胸をはって
この街並みは、日本人の努力の成果だ
と言えます。
政治がどうのこうのといっても、やっぱり
日本は最高の国だと思う!
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