「留学で人生を棒に振る日本人」 栄陽子 ISBN978-4-594-05344-4
留学生の子を持つ親、これから留学させる親は必読です。
書かれていることの最重要点は
「留学の目的が、英語の習得では駄目」
ってことです。
手前味噌ですが、僕は英語を全く話せない(高校英語は堂々たる赤点です)ところから、数年でTOEFL600点(TOEIC換算900点だとか)を超えました。英語が話せるようになりたかったから頑張ったのではなく、
自分で映画を撮りたかった、監督したかった
それだけの理由です。
英語は、例えていうなら競技会への参加申込みに必要な条件だったというだけ。日本映画が素晴らしければ、別にハリウッドに行く必要なんてなかった。だから、映画の技術を習得できなければ、人脈を作らなければ、僕がアメリカにいる理由はない、そう自覚してました。メジャー映画の監督にはなれませんでしたが、映画制作技術、映像・音楽・芸術方面の人脈は生きています。
留学前にテレビ局で2年修行した経験も英語力不足をカバーしてくれました。
その一方で僕が出会った日本人留学生には、
「アメリカにいること」
これだけが目的という人が多かった。
自尊心が高くて、小さな頃から目立ちたがり屋。だけど、大学に合格できなかったからかっこわるい。だったら、レベルの分かりにくい外国の学校へいけば、日本の友人は、
「あいつアメリカいったんだってさ。すっげ?!」
と話題にしてくれるんですから、少なくとも留学期間が終わるまでは自分の優位性は保てます。友人達には、現地で日本人同士で遊び回ってるなんてことは知られないわけですし。
そして数年後、学校の終わりが近づくと戦々恐々としはじめます。
なぜか?
帰国しなければならないのに、何も身に付いていないからです。このまま帰っても就職出来ない。かっこわるい。そういう価値観。
だから、大あわてでプラクティカルトレーニング(大学卒業後に1年間認められる就労ビザ)を取得しようとする。それで、何でも良いから働くところを見つける。
ただ帰りたくない一心なので必死です。
その次は、十中八九グリーンカードです。
中にはアメリカ市民と結婚してでも、他のグリーンカード保持者と結婚してでも居残ろうと必死な人もいました。
皆さんの知り合いで留学後に現地で働いている人がいたら聞いてみてください、
「どんな所で、誰を相手にビジネスしてる会社なの?」
おそらく返答は、旅行関連やレストランが多いはずです。アメリカに旅行に来る日本人を相手に商売をしている会社で働いている人が多いと思いますよ。
英語力は最小限で大丈夫という所も多いです。
もちろんそれが悪いわけではありません。アメリカは外貨をもたらす旅行者は大歓迎だから、旅行者が楽しく旅行してもらえるよう取りはからう日本企業は必要です。旅行者も心配な部分はお金を払って代行してもらった方がいい。
利害が一致しているとはいえ、英語も学問も技術も何も習得しないでアメリカにしがみつこうとする日本人も多いのです。
この本はそこまで言及していませんが、目的意識のない行動は時間の無駄以外のなにものでもありません。
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