海が綺麗なサンタバーバラという所で、老齢の友人が巨大な倉庫いっぱいの映画機材を持って商売しています。僕はその倉庫へ遊びに行くのが大好きで、一日中モノを物色していました。
数十年前の映画カメラがごろごろして、博物館のよう。
35ミリの映画用カメラ
16ミリの映画用カメラ
鋼鉄で出来た超高速フィルムカメラ
スーパー8のカメラ
ダブル8のカメラ
完全に現代のものではなくなっている品々も、ロサンゼルスではまだ需要がある。
僕が今でも手放せずに大切にしているArriflex 16M (Arri M) というカメラは、この友人から買ったもので、付き合いはそこから始まりました。
“かつてのプロ用機材”で撮影された映像の画質は、今の家庭用HDカメラの画質に遠く及ばない。現代の技術の粋を集めた機材で撮影すれば、鮮明で発色豊かな本物と見間違う程の映像が誰にでも撮れる。
でも、本質はそんなところにはないんです。
今の僕の技術で最新の機材を使えば、50年前の一流の人達の映像より美しいものが撮れるのか?残念ながら、それは難しい。重ねた努力が違いすぎる。比較するのもおこがましい。
50年、100年、1000年の技術革新でも、表現力の差は埋められない。
最新のペンを使っても名作は書けない。
ネットで映像制作について調べていて、誰かの質問にこんな回答がされているのを目にした。
「そんなカスみたいな機材で映像作ってるなんて、恥ずかしくって駄目だね」
恥ずかしいのは機材の優劣ではない。
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