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本気で、子供に東大合格者の真似させます?

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僕は、高校生の一時期、サッカー部に所属していました。
僕が卒業してから、全国大会で優勝することになる名門チームの影も形も無かった頃です。(笑)

サッカーだからスパイクが必要なのですが、実は僕のスパイクは、近所に住んでいた後に J リーガーとなる有名選手のお下がり(もらい物)でした。バカな僕は何を思ったかというと、

「__さんが履いていたスパイクを履いているんだから、上手くなるに決まっている」

バカでしょ?(笑)
上手くなる前に、根性が続きませんでした。 Orz

今朝だったか、昨日だったか、新聞の雑誌の広告を見ていて笑いました。
ビジネス雑誌の子育て版です。
どんな恥ずかしいことをしてでも、

子供を “偉く” したい人

が読む雑誌です。
すみません、今日の話題は 『皮肉方面』 に走りますが、

この雑誌の真似が 子供にとっていかに危険か?

を伝えるには、この方法が一番なのです、とお断りしておきます。
この雑誌は、

「東大合格者が愛用していたグッズ大紹介!」
とか、
「東大合格者の勉強部屋大公開!」

みたいな、馬鹿馬鹿しい企画ばかりなので、本家のビジネス誌の内容も、このごろ少し疑ってかかっています。(日本語で言えば “社長” って雑誌ですが、きっと 『社長』 は誰も読んでいません)

こういう情報を喜ぶ人というのは、何かを達成した人の “達成した要因” が “物” にあるという、短絡的な物質主義思考だとしか言いようがありません。本家がビジネス雑誌だから、仕方がないといえば仕方がないけど。

そんなに真似したいなら、僕もイイモノ色々知っています。

背負子に薪を背負って、本を読みながら歩く

なんて古典的なもの。
あれを真似すれば、きっと凄い人になれます。
是非真似してください。
息子に真似させようか迷ってる所です。(ウソ)
または、

ホタルのひかり、窓の雪

なんてのもあります。(笑)
とてもエコロジカルであるとも思います。
福沢諭吉は、寝るときはかい巻き一枚で寝たそうですよ。
これもエコです。
身体も強くなります。
それも真似してください。
東大入学ごときの成功ではありません。

いつか一万円札を飾る人物になれるはずです。

それから、あとどんなのがあるかな。
きっと、そういうかっこ悪いのや、苦労が多いことや、面倒くさいことは真似させないでしょう。
僕がサッカーが上手くならなかったのは、スパイクをくれた選手がした努力を真似しなかったから。

物質主義とは、結局、ファッションなのです。

その雑誌に載っている子ども達は、成功した人のマネばかりさせて、あとは運を天に任せ・・・た、はずなのに子供が受験に失敗したら、露骨にイヤな顔をするような大人達にかこまれていなかったのではないか。

親が勝手にゴールを設定して、そのゴールを達成させるために出来るお手軽なこと、つまり、

金を出して “先に合格した子” と同じ環境を作る

子供にとっては、迷惑な話ですから、絶対にやめてください。

子供って、高校生くらいでもまだまだ純粋なのです。
例えば、僕が真剣に

「__さんのスパイク履いてるんだから、サッカー上手くなれるはず」

と思っていたのは、16歳です。
16歳といえば、生意気に大人みたいな口をききますから、分別もあって信用に値すると思ってしまいそうですが、全く違います。

よく覚えておいたほうがいいです。
16歳は、子供そのものです。

その子供の脳で、有名選手のスパイクがどう作用するのか?

そのスパイクが あ・れ・ば 有名選手と同じ技術が身につく

という、全く根拠のない安心感に繋がってしまうのです。
根拠の無い安心感は、別の言葉で言うと

心に隙が出来る

ということです。何の根拠もなく、

しなければならない努力の一部を 免除 された

そんな気分になってしまうのです。

スピルバーグが使ったカメラを使えば、素晴らしい映画が撮れるのか?
本田宗一郎の使った工具を使えば、凄い技術者になれるのか?
サラ・ブライトマンの使ったマイクを使えば、歌が上手くなれるのか?
ヘミングウェイと同じペンを使えば、名作が書けるのか?
シューマッハの使ったレースウェアを着れば、F1で優勝出来るのか?

あの雑誌をありがたがって読んでいる親自身が、ここに気付いていないということだね。

こんな記事もあります。

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