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じっくりが許されない社会です

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イヤな事件が2件も連続しました。

どちらにも共通して見られるのは、

自暴自棄

という気持みたいです。この言葉、“自分の身を粗末にしてしまうこと”という意味だけど、心に鬱積したものを他人を傷つけることで発散させようと考える人にも、自暴自棄が当てはまるのかなと思います。

言葉のあやですけど。

子どもの頃を思い出すと、僕にとって自暴自棄という感覚は、プラモデルを作っている時に感じたことがあります。

子どもは物の完成を急ぎます。
ある部品を接着し、その部品が自立出来る程度に接着剤が乾いたつもりでいたら、まだ全然接着が不完全(多くは接着剤の過多が原因)で、

ぱたっ

と部品が倒れる。不要な所に接着剤が着かないようにと焦って手を伸ばすと、別の部品に手が触りそちらも倒れる。結局、一気に数カ所の部品が倒れ、

「こんなんなっちゃった?!これじゃキレイに完成できないっ!(`_´)」

と、その後適当にくっつけて、完成に満足できず結局捨ててしまったことがあります。
買ってもらうときはあんなに欲しかったプラモデルが、少し接着剤で汚れただけで、どうでもいいものになってしまうのです。
それを避けるためには、どうすれば良かったのか。

ゆっくりと、慎重に。
接着剤を少なくする。
接着剤をつけたら、すぐに接合しようとせず、半乾きになるまで待つ。
一日で作ろうとしないことです。

こんなことと比較しては犠牲者に申し訳ないですが、

自暴自棄というのは、完成を急ぎすぎること

に追われて陥ってしまう心理状態のようです。
今の世の中は、とかく“完成を急ぐ”風潮を加速させています。

それらの完成とは、

業績
技術の習得
資格の習得
成長(肉体的・精神的)

どれをとっても時間がかかることがらにまで要求されています。

恋愛もそうかもしれません。
人間関係をじっくり作って、相手にアピールするところまで耐える自信と、拒絶されたときの絶望感に耐える自信のない者が、相手を暴力でねじ伏せたりするのでしょう。

完成を急ぐから、

「誰でも簡単に___が習得出来る!」
「5日で驚くほど痩せる!」

という宣伝文句に振り回されて、インチキ臭いものにもコロッと引っかかってしまったりします。

ゆっくりじっくりが許されない。
窮屈きわまりない世の中です。

だから、何か悪いことが起きたりすると、前途を悲観して、

解決のための努力をして、解決するまでの時間を耐える

これを拒否して、自暴自棄になってしまいます。

みんな自分以上に振る舞って、さも何かが出来る人間のふりをしています。
現実は“出来るフリ”を許してはくれませんから、いつかはバレます。

バレたときは、ウソで固めた自分の世界は崩壊してしまいます。
でも、もともとありもしない自分の世界だったりするわけです。

ありもしないものが崩壊することを恐れて、毎日ストレスを募らせる

これが現代社会の姿かもしれません。

気楽に行けばいいじゃん!

と言うのは簡単ですが、世の中全体にその許容力がありません。出来ることは、ただ一つ。

結果を急がず一生懸命努力して、自分がやるべきことを着々と進めていく

これだけです。

これが難しいんですけどね。

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