廃棄用のコピー用紙の裏をメモ帳や、アイデアまとめ前のブレインストーミングのメモに使っています。
アイデアはもっぱら
FreeMind http://ja.wikipedia.org/wiki/FreeMind
というフリーソフトを使ってまとめることが多いです。
マインドマップづくりが無敵のような言い方をする人も多いですが、僕は最初からマインドマップを作ることは極力避けるようにしています。
どうしても
「考えるぞ」
という気持になってしまい、どこかでつじつまを合わせたくなる人情を押さえられないためです。(笑)
性格が災いしてか、いつの間にかマインドマップ自体を
きれいにすること
を目指してしまいます。
例えば、「ここにあと一項目入れたら左右対照になる」とか。(笑)
無意味です。
なので、僕はコピー用紙の裏とボールペンで書き殴った紙が何十枚も溜まってくると、その中から
どう考えてもゴミ
というアイデアを消していき、残ったものが本当に必要な情報だと考えるようにしています。
そして、フリーマインドでまとめ上げる。ここからは既に出ているアイデアを枝分けしていく作業なので、美しさより効率です。客観的に考えることができるし、自分の頭の中がどうなっているのか見ることができます。
このマインドマップという作業、一昔前は
インスピレーション
というソフトを使って行っていました。その前は、完全に手作業でした。
この流れは、原稿用紙で書いていたシナリオをワープロで書けるようになったのにとても似ています。
シナリオをワープロで書くことで人間が失ったこととは
長い見通しで物事を構成する力
です。
大学でシナリオの教授がこういうことを言いました。
授業で書いたシナリオをリライト(再度書き直す)することを説明したときの言葉です。
「リライトとは、今書き上げたものをゴミ箱に入れ、再び新しいものを書くことです。ところが最近はリライトしてこいと言うと、ワープロで文字を移動させるだけの作業をしてくる者ばかりになってしまった」
ペンで紙に書いたり、タイプしてしまったものはコピーペーストで修正することは不可能です。
すると、一度書き上げたものをじっくりと吟味して、そしてリライト後の理想型を頭の中で組み上げて、それに向かって1から書き直す作業を行う。
だからこそ、一つ一つの言葉が重く大切に感じられたというのです。
ワープロで原稿を書くようになって、歴史に残るような名作が増えたのかと言えばそうではありません。
マインドマップで頭の中をまとめれば、天才的なひらめきが得られるようになるのかというと、これもそうではありません。言ってみれば、どうでもいいような事まで、パソコンがないとまとめられない人が増えたのかもしれないし、便利な道具があることによって創造力が弱くなっているのかもしれません。
僕が映画を始めた頃は、フィルムをスプライサーという特殊なカッターで切って、テープで繋いでいました。だから、一度切ってしまったフィルムはもう元には戻せませんでした。
映画の編集は一コマ足りない/多いだけで効果が変わります。
だから、編集作業は緊張の連続でした。
それが、デジタルのノンリニア編集が誰でも簡単にできるようになって、編集の緊張が無くなってしまった。こんな便利な道具が手に入ったからといって
みんながみんな名作を作ることができるようになったのか?
というと全然違います。
事実、最近の映画からは不朽の名作と呼べるものは一つもありません。
この頃は、アイデア不足から、故人である巨匠映画監督の名作のリメイクにまで手を出したりしているところを見ると、便利な道具ができたから良くなることばかりではないということが、直接的な対比で証明されてしまいました。
結局、全ては道具の善し悪しではなく、自分自身に何を備える努力をしてきたのかということが大切なのです。
デジタルで便利になったり、簡単になったりすることは、必ずしも喜ばしいことばかりではありません。
アナログ時代の人々の努力の大きさを見習いたいです。
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