僕は日本映画やドラマ、特に最近の作品は全く見ていません。
実際嫌いなんです。
でも、最近ハリウッドが日本の映画をリメイクしたりしています。
その理由はなに?
日本映画界を取り巻く厳しい環境が関係しているのですが、その理由を言う前に・・・。
最近の日本映画を嫌いな理由は色々あります。
昨日の新聞に、俳優三国連太郎さんのインタビューが掲載されていて、その中に今の日本映画の悪い点を簡潔に表現している言葉を見つけました。
今の映画・映像界の主流を占める空気を「粗雑」と表現する。
「テンポ第一だから、役者はせりふが早口でけいこが足りない。粗い脚本が多く、半分以上が説明ぜりふ。そうしないと理解できないだろうと、作り手が人間を軽蔑している」
中日新聞10月3日
さすが、名優は違います。
全く見ないといっても、数十秒のシーンに触れる事はあります。その数十秒を見れば、だいたいどの程度の演技力があるのか分かります。
演技は台詞を覚えて言うこととは全く違います。
演技とは、リアクションの連鎖なのです。
つまり、人があたまの中で考えたことを声にする。
それを受けた人が、その声を自分の脳で分析して“反応”をするわけです。
演技は、相手が何を言うか知らない前提で自然に生まれるその反応だけで“心”を伝えるものなんです。だから、言葉と心が正反対になる、
やまんばが優しい人を装って、坊さんを泊めてやる
そんなシーンにも緊張を作り出すことができるのです。
一方、日本の芸能人、特にモデルやら歌やらなんでもかんでもやる人達は、
「次、私が台詞を言う番ね」
という演技です。深みとか裏表、明暗なんてありません。
あの人達にとってシナリオは、台詞を言う順序が書かれているだけのオーダー票のようなものなんです。
だからつまらない。
それに加えて、無理矢理コミカルさを出すために、やたら早口になる。全員でそれをやるから、せわしないばかりで視聴者が感じる余地がないのです。
漫画を早読みしてるのと同じです。
だけど、日本の映画はこれから世界で見直されるかもしれない強力な部分があります。
それは、
安く制作できるストーリー設定
です。
日本の映画界って、不振だから制作費が少ない。
良い映画を作るには、常に「予算」を攻略しなければならないんです。
企業でも家庭でもそうですが、予算問題は映画でも例外ではありません。
(だから、先日の若い女優の問題行動は損害賠償を起こされたって文句が言えないような重大事です。訴訟の話が出てこないのが不思議)
ハリウッドが日本の映画をリメイクする理由の一つは、自分たちの数十分の1の予算で映画を作り上げてしまうシナリオの書き方にあるんです。面白さや、技巧的に優れた点ばかりが評価の対象になるのではありません。
例えば昨日僕はこんな動画を見ました。
ほんとうにあった怖い話 第五夜 都市伝説 第1話「公衆電話の光子さん」
http://streaming.yahoo.co.jp/c/t/00374/v01978/v0197800000000377162/
(国外の方は見られないかも)
これを見て、久しぶりに映画を作りたくなりました。
演技は、(・_・)。
ストーリーは、(・_・)。
撮影はそこそこ。
全体的にそこそこ。
でも、なぜこんなに触発されてしまうのかというと、
役者が二人しか必要ない。(しかも一人はプロでなくても大丈夫)
照明をしなくていい。
衣装を着替える必要がない。
ロケーションが公衆電話のみ。
おそらくこのショートフィルム程度なら、スタッフ・役者総勢4人で大丈夫。
今の機材を使えば、自分と役者の女の子二人(総勢3人)だけで完成させることも可能です。カメラがドリー(台車)で動いたりしていますが、それを含めても10人スタッフがいたら多すぎです。
つまり、
役者がたくさん必要 = お金がかかる。
照明が必要 = お金がかかる。
衣装を着替える = お金がかかる。
ロケーションが多い = お金がかかる。
それらの要素を全て排除して、安くストーリーを作り上げようという努力が、偶然見た「公衆電話の光子さん」に詰まっています。
この短編のストーリーを単純に評価すれば、この動画のページの辛口リビューみたいになってしまうのでしょうが、クリエイターとしては拍手喝采したいです。
実際はどうか知りませんけれど。
かかった費用を聞いたら、前言撤回になるかもしれません。(笑)
日本の映画には、無い予算の中で、最大限の工夫でストーリーを見せようとするシナリオの書き方という強みがあります。そこをどんどん伸ばして、かつ演技に磨きをかければ、世界が見直すことになると思います。
迫力や作品の完成度で世界進出してハリウッドに勝とうと思っても、おそらく難しいでしょうから。
しかし、ホラー映画作り面白そうです。
だれか一緒にやりませんか。
本気です。
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