「ダイブ:水深170メートルに逝った愛」
ピピン・フェレーラス著 ISBN-4-78972598-7
ノーリミッツというフリーダイビングの世界チャンピオンと、同じく深海に魅了された彼の妻の悲劇の記録です。
170mという深海に向けて、スレッドという重りのついた器具につかまり潜行。
目標深度に達成したら、風船を膨らませて海面に戻ってくるという、3分半くらいの競技です。
チャンピオンだった著者がドクターストップで潜れなくなった後を、12歳年下の妻、オードリーが引き受け、前人未踏の領域への挑戦中の事故で帰らぬ人となってしまいます。
僕の周りでも自分のパートナーのことを、
「結婚前と後で別人のようになってしまった」
という人が多い。これは、男女双方から聞きます。
結婚というものは、恋愛レースから離脱してホッとすることが出来る反面、
「この相手と一生一緒にいるという前提」
が、急に重くのしかかってくる儀式でもあります。
「この相手と一生一緒に“いなければならない”」
という意識になったら、もうその人間関係は危ないでしょう。双方が相当な努力をしなければ、回復することは不可能です。深く傷ついた人間関係に、自然治癒はありません。
この本は、あらためて
夫婦のありかた
を教えてくれます。
男の視点から見て、亡くなったオードリーは夢のように理想的な妻です。
かたや、著者のピピンは悪く言えば多くの“夫(僕ら)”が自分自身をダブらせたくなるような存在だと思います。それくらいワガママで、自分本位な男です。
でも、その男が、
仲間との確執
自信喪失
妻の死
という苦しみの経験を通して変わっていきます。
その男の心の変化の様子がこの本の魅力でもあります。
パートナーへの想いが結婚当時から大きくずれてしまっている方、
必読です!(笑)
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