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いい人がいた

ボウズがどこかでサッカーボールをなくして来ました。
妻が気づいて、僕がボウズに聞くと、

「そっぴくんはちゃんと持ってきた」

というのです。
でも、事実はボウズしか触らないボールがウチの中にも敷地内にもない。

つまり、ボウズがどこかにおいてきたってこと。

でも、ボウズは「そっぴくんはちゃんともって帰ってきた」の一点張り。
腹がたってきました。
僕は、自分のサッカーボールがなくなって、

「ほんとに? どうしよう・・・」

と、うろたえるのを期待していたものの、なくなったものを心配する態度がない。
カミナリ落ちました。(笑)

でも、

「自分が3才のころから一緒に遊んだボールが、どこかで泣きながら朽ち果てていくのが悲しくないのか?」

と言ったとたん、ボウズの目から涙がわっと出てきて、

「公園に探しに行ってくる」

もう暗いのです。だから、ひとりで行かせるわけにはいかないので、僕もついていきました。
探し始めて10分ほど、ひとりのおじいさんが近づいてくるので、

『何か不審がってるのかも』

と思い、あいさつをすると、意外な言葉が返ってきました。

「ボール探しとるのかね?」
「え?あ、はい」
「白いの?」
「はいはい!」
「サッカーボールやろ?2~3日前じゃないかね?」
「え、ご存知なんですか?」
「ああ、あっちにあるよ」

おじいさんに案内されながら聞いてみると、数日前に落ちていたサッカーボールを見つけて、

誰かが持って行ってしまうといけないと思い

植え込みの奥にかくしておいたのだとか。
見てみるとまさしくボウズのサッカーボールです。

二人でお礼を言って、帰ってきました。

モノを大切にして欲しいと育てたつもりだったけど、最初のリアクションが期待はずれ。
でも、まあこれで良い教訓になったかなと。
人に感謝することの必然性もわかっただろうし。

終わりよければすべてよしです。

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