そっぴくんの道場には、
そっぴくんが一番認められたい先生
がいます。
その先生は、60代後半で道場の先生の中で一番厳しいのですが、笑顔がかっこいい、いかにも合気道をやっている人という爽やかさがあります。
大きな声では言えないですが、道場の小学生はやる気無しのダラダラな子が多く、その先生がいないと、ほとんど稽古になりません。
何しに来てるんだ?
と、怒鳴りたくなるほど。
その中で、ウチのボウズと二年生の子、それから4年生の子の3人だけが、
稽古らしい稽古
をしています。
それこそ、真面目な子は、正座、礼までビシッと凛々しくできるようになってきます。
4月に小学生になり、ようやくそっぴくん念願の入門を果たし、半年が過ぎ、随分上達したように思います。
同じ時期に入った子でも、大きく差がつき始めました。
そして、この頃になって、一番厳しい先生からそっぴくんは褒めてもらえるようになって、ますますやる気になってしまったようです。毎日毎日、学校から帰ってくると、
「今日、合気道? 今日、合気道?」
って言うほどです。
入門して以来、僕は勝手に、「この先生に褒めてもらえるくらい、根気よく稽古に励むように仕向けよう」と目標を立ててきただけに、うれしいです。
同じ道場にも、青帯をつけていても、全く基本をおざなりにしてきた子も多く、稽古中に抜け出してトイレに隠れていたり、技をかけられてもそのままゴロゴロしているばかりという子がほとんどなんです。
道場に送ってきた親も、しばらく見てはいるものの、姿が見えなくなった途端に子ども達はサボりはじめます。帰りは、親が姿を現すと、態度が少し良くなります。
これはね、子供の意志にまかせて放任してしまった結果です。
そんな中で、そっぴくんともう2人の子は、廻りがどうであれ流されることなく、自分の稽古を懸命に続けています。 正座で先生の話を聞くときも、大人みたいに腰を入れて背筋を伸ばして座り、微動だにしません。
この3人は、見てて気持ちがいいです。
親がある程度は、稽古をしっかりやることの大切さを教えて、上手く誘導してやることがとても大切です。子供だけにまかせられるほど、意志って強くないです。大人だって、意志を強く持つのは大変なのに、なぜ子供にできると思うんでしょう?
奇妙な事に、合気道を習わせる理由として、
礼儀を身につけさせたい
体を丈夫にしたい
だから、合気道の道場に行かせる
という親が多いようですが、それは間違っています。
道場で礼儀作法から全部教えてもらおうという意識ではいけません。
普段から礼儀正しくする躾けをして、道場で実践させることです。
つまり、親が教えたことが、道場で生きる、磨かれるということだと思います。
それに、
稽古に来て出席簿に丸がつけば体が強くなる
そんなはずありません。
来た、来ないではなく、稽古にどれだけ身を入れることができるか、そこが一番大切なんです。この半年で、そっぴくんは自主的に稽古に取り組むことをしっかり身につけて、礼儀も良くなりました。
一番厳しい先生に気にかけてもらえること
それは、本人にとってはとっても大切なことみたいです。
先生をがっかりさせることは、本人が一番嫌なことみたいです。
僕、出番がないです。(笑)
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