僕の仕事の中で、いつも考えていること。
ヒトは言語をどう獲得するのか?という疑問。それから、子供達はどうやって言葉を習得するのか?そして、どうしたら表現力豊かな子供に育つのか?
たまにみかける
「幼児が言葉を習得する方法を応用した語学教材」
を僕は信じていません。曰く、
・ 毎日聞いているから自然に出てくる
・ 繰り返し行うことにより、脳へのすり込みが起きる
:
いいたいことは一つだと思います。
門前の小僧習わぬ経を読む
納得いきません。レストランで注文したり、空港で税関を通ったり、そういう機械的なことは大丈夫でしょう。でも、言葉はそれだけで習得したとはいえません。
子供がどう言葉を覚えるのかを考えるとき、まず必要なのは
誰と関わって言葉を覚えたのか?
ということ。言葉は人に何かを伝えるための道具です。
伝える手段を持たない子供は、まず誰かから一方的に伝えられる立場に置かれます。すると、大切なことが
誰に何を伝えられてきたのか?
に移動してきます。
語学の先生から例文を伝えられてきたわけではありません。
子供は大人のように教科書から言葉を覚えません。また、大人が話をしていることから自分に必要な表現を抽出するわけでもありません。そんな芸当は、大人になってからようやくできるようになることです。
子供が言葉を獲得するとき必要なのは、親近感と愛情です。親近感・愛情があるから、相手の言葉に興味を持つことができる。これがスタート地点です。(虐待されている子も言葉は獲得しますが、より理想的なケースのみを使います)
親近感・愛情はどこから来るのか?
それは共通の経験から生まれます。
ストーカーは自分が妄想で作り上げた、相手との共通の経験を現実と錯誤して相手に愛情を持ちます。追われる側はそんなことは一切知らないので、問題になります。
例えば、子供を動物園に連れていく。その後、しばらくして親子で話をする。
「○○ちゃん、動物園行ったことあるよね?」
「どうぶつえん?」
「そう、動物園。ぞうさんとか、ライオンさんとかいたところ」
「どうぶつえん!」
「行ったことあるでしょ?」
「ある?!」
これは若干高度な会話ですが、この中には“行ったことがある”という過去の経験を問う疑問文なんてものが入っているわけです。
この言葉を子供に教えるとき、
「前に行ったことがある、やったことがあることは、“ナニナニしたことある?”ってきくんだよ」
と説明したところで無駄だということは分かります。
この大人と子供の間に、
動物園に行った
という共通の経験があって、それを子供に向かって大人が正しい表現で質問する。
その繰り返しの中から、子供は
自分の経験
を言葉に直すとどうなるかということを覚えます。
いつしか、一方的に伝えられる立場を卒業し、自発的に伝える立場になっていきます。
英語を習得するのに最良の方法は“恋人を作ること”だといわれますが、これは認めざるをえません。本物の恋愛関係をも含めているのが「UNTAMED DIVE LA」の特長なのは、こういう理由があります。(笑)
ところで、忙しいとき子供にビデオを見せている方の話。
そうさせていることに罪悪感があって、
「でもまあ、言葉の勉強になるからいいかと思っています」
という方がいますが、これはとても限定的で閉鎖的、しかも習慣性があるため、僕は絶対にお奨めしません。
豊かな表現力は親子の親近感・愛情から。
そして、親が表現力を磨くことで、子供の表現力も倍増します。
やっぱり子育ては親からです。当然ここに落ち着く。(笑)
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