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カヤックに片思い

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あこがれの・・・ノースウエストカヤック 美しすぎてため息がでます。

一時期カヤックにのめり込んでいた時期があります。

自分の艇を持っていたわけではなくて、アーバインというところにあるサウスウインドでレッスンを受けて、このショップや別のショップの企画するパドリングにレンタル艇で参加していました。

自分の艇がほしい!

僕はあるとき自分の真の姿(笑)に気付いて猛烈に反省して以来、物欲がものすごく少なくなり、ほとんどモノを買いません。それでも、こればかりは何年も夢に見ています。

スポーツカーに乗る人達はよ?く知っていること。
自分が移動しているときに目線が身体の接点(地面ですね)と近ければ近いほどアドレナリンは爆発します。ぺったんこのクルマはかっこいいだけじゃなくて、脳内麻薬が一気に分泌されるため中毒症状をつくる効果があります。

クルマの場合、さらにスピードが加わり中毒症状は加速します。w(0o0)w

一方カヤックは、とても遅い乗り物です。
動力は自分の力だけ。
基本的には、腰だけで進みます。
そして艇の中に下半身がすっぽり収まり、内壁に取り付けられたパッドを膝で押して一体化します。そしてスプレースカートというものでコックピット(人が身体を入れる穴)までもピッタリとふさいでしまうので、気分はケンタウロス。別の生き物になったような気分です。
その上視点が低い(座高程度)ので、地球とも同化します。

僕が惚れてしまったのはシーカヤックといって、川を下るのではなく海に出る方です。

砂浜からスタートするわけですが、波の高さは水深との関係で決まります。砂浜近くは水深が浅いため、波がブレイクします。先が尖って白く巻いてくる波です。これがサーファーが狙う波で、この波が出るエリアをサーフゾーンといいます。僕が遠洋にこぎ出していた浜は、サンディエゴというサーフィンのメッカのようなところで、波の高さが半端じゃありません。

シーカヤックは小回りがきかないので、とにかく早くこのサーフゾーンを抜けたい。

波に直角に当たっていけば難なく切っていくのですが、不意に横から波を食らうことがあります。油断して

「しまった!」

とか言ってるうちに自分の横に壁のような波が立ち上がり、襲ってきます。
ここで波に負けたらキャプサイズ(転覆)してしまいます。

負けるとどうなるか?
艇と一体化された身体は交通事故と同じくらいの力で、横にゴロゴロゴロゴロっとロールさせられて、上も下も分からなくなります。転覆寸前に身体を前屈の要領で曲げて船腹をがっちり掴んでよりいっそう艇と一体にならないと、上半身は水圧でもみくちゃにされ、下半身は数十キロの艇と同化しているため、腰がねじられて救急車ということもあります。

うまくもみくちゃを脱し、艇から抜け出しても、もし顔を出したところが、背中が砂浜、沖側に艇という位置になってしまったら地獄です。次の波に煽られた自分の艇が頭めがけて飛んできます。これで亡くなる方もいるほどの威力です。どんなパニックになっても、常に自分が沖側に顔を出さなければなりません。凄いスリル。(笑)

でも、どこかの誰かが凄い技を生み出したおかげで、横向きのまま波を越えることもできるんです。

波って下から上への水の動きだって知っていますか?
波の中では水は上へ上がっていくのです。
波の真横で見ていると、水が生き物のようにせり上がってくる。

その時がチャンス!
パドル(船をこぐ“かい”)を胸の前で真横に構え、腕を曲げ、脇を締め、身体をカチカチに固めて、腰を使って身体を横に移動させ、思いきってパドルを波に突き刺す!

すると、とんでもないことが起こります。

パドルの下から恐ろしい力がかかってきます。
波は柔らかい水ではないんです!

ゴリゴリゴリゴリゴリゴリ

という、ごつごつした感触です。

その力といったら!

全身小刻みに振動しながら、艇と自分の身体がエレベーターのように持ち上げられていきます。ここで力を抜いたら腕が肩から抜かれます。死にものぐるいで身体をカチカチに固めたままふんばります。

そして、波は何事もなかったかのように、

ひょい

っと僕と艇を波の裏に乗せて岸へと向かっていってしまいます。
残された僕は、波の背中を見送る形になります。なんとも不思議な光景。

3キロほど漕ぎ出すと、少し霧がかかっているだけでももう陸は見えません。
水深も深いので波がブレイクせず、上下のうねりだけ。自分がうねりの底にいるときはすり鉢の中にいるように、自分の周りが水の壁だけ。同行のカヤッカー達が壁にひっついているように見えます。反対に、うねりの頂上にいるときは見えなかった陸が見えるほどの高みに持ち上げられます。

カヤックは形が流線型で、人間も同化しているためか、遠洋をパドリングしているうちにイルカと併走していたり、湾内のパドリングの時は艇を停めて他の参加者と話しをしているうちに、鳥が舳先にとまったり、自然の仲間に入れてもらったという実感があります。

と話しているうちにまた艇に乗りたくなりました。
今は息子と一緒に漕ぎ出したいので、二人乗りがいいなぁ。
当分無理ですね。(笑)

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