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快晴に写真を撮るのは

写真の撮影の日取りを決めるというと、

「*日は天気が悪いからダメだね」

という人がいます。天気がよい日と悪い日、どちらが撮影に向いているか、どちらが人物がきれいに写せるかといえば、

曇りの日か、雨の日

です。だから、僕は撮影の日に雨が降ったり曇ったりするとすごくうれしいのです。そう思って、「いや、曇ってる日の方がいいです」 というと、とても怪訝そうな顔をされます。「分かってねぇなぁ」という顔をされるときもあります。(笑)

僕の友だちが写真が好きで、自分の愛車の写真を快晴の日に太陽の下で撮ってきて、

「ほれ、すげ?だろ!スターフィルターも使ったから、輝きがいいでしょ」

と見せてくれたけど、車を撮るなら冬の早朝、曇ったときがいい。
晴れた日だと、ホコリや細かい傷にも光は容赦なく反射するため、全てが写り込んでしまいます。その乱反射の一つ一つにスターフィルターが効いてしまいますから、良い写真はなかなか撮れません。

曇った日に撮ったり、日陰で撮れば、多少古い車でも、塗装が

ヌメッ

っとした、少し舐めたアメのように美しく撮影できます。

人の顔だって、車と同じです。強い日射しでは、シワの凸凹が際だってしまいます。曇った日なら、シワの頂点と谷の部分との輝度というか、コントラストが低くなるためキレイに写ります。

まぶしそうに眉間にシワを寄せることがありませんから、自然なやさしい顔が撮れます。
更に、昔はレンズ(保護用のUVフィルター)に一瞬息を吹きかけて、

疑似ソフトフィルター

をつくって、シワをぼんやりさせて目立たなくするということもやりました。(レンズに直接息をかけてはいけません)
どうしても明るい光の中で撮影しなければならないのであれば、逆光の位置にモデルを立たせて、フラッシュをたいて撮影します。すると、髪の毛が後ろからの光線で輝いて、顔もバランス良く美しく写ります。一眼レフなんて使わなくてもいい写真が撮れます。

僕らフィルム時代から撮影を始めた人間は、写真を撮るときは、光と影の部分、陰影をいかにフィルムの表現域(ラティテュードといいます)の中に収めるか、という勝負でしたから、巨大な網を頭上に張って

光を拡散させる

そこまでして、擬似的に“曇り”をつくっていました。

晴れの日に撮影するというのは、昔のフィルムは感度が悪かったから、というところから由来していると思います。だから、あまり固定的に考えず、色んな可能性を試してみることが大切です。

象徴的に写真撮影で話をしましたが、どんなことにも当てはまる考え方だと思います。

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