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痛みに強い子供に育てる

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子供はよく転び、不注意を叱られ、無鉄砲なのが仕事です。

親が横で見ているとハラハラします。

出来れば転んでもあまり痛がらない、逆に大げさに笑ってでも痛みを我慢しようとする子供に育ってくれたらと思うはずです。

僕は子育てにマニュアルはないと思います。
でも、痛みに関しては訓練の方法があります。

息子に意識的に実践してきて、その結果かどうか保証は出来ません。でも医者が驚くほど痛みに強い幼児になりました。(笑)

やり方はとても簡単です。

転んだり、ぶつかったりしたときに、

「ああっ!!!だいじょうぶぅ?????」

と大声で言わない。大人なら、転倒の様子で子供がどんな状態か予想がつくはずです。緊急な怪我がないと判断出来たら、転んだ子供の近くに寄り、しゃがんで顔をのぞき込むようにしながら落ち着いた声で、

「大丈夫か?」

と声をかける。本当は助け起こして抱きしめてやりたいところです。でもそれをこらえて顔をのぞき込むようにしながら「近くにいるから大丈夫だよ」ということを伝えます。

少し落ち着いたら、更に落ち着いた声で、

「どうして転んだんだろう?」

と子供に原因を考えさせます。最初は原因なんて言えないんですが、そのうち何かにつまづいたとか、よそ見をしていたとか理由を言うようになります。

それを続けることで、転ぶということを子供が頭の中で冷静に整理するようになります。

転ぶ。
痛い。
でも、親があわてない。
ということは、そう大したことではないのかな?
でこぼこしたところでは前を見てあるこう。
また転ぶ。
今度は血が出る。
でも、やっぱり親はあわてない。
この程度のことはよくあることなのかな?
走るときは膝を上げないと転んじゃうのか。
で、また転ぶ。
今度は頭をぶつける。
痛い!
親が駆け寄ってきて、いつもより心配そうに自分の身体をチェックしている。
今回の親は態度が少し違うけど、やっぱり落ち着いてる。

ここまで具体的に子供が考えるわけではありませんけどね。

赤ちゃんの頃は痛みに反応して泣くだけなのに、親が大騒ぎを繰り返すことで、子供は親の大騒ぎにふさわしい反応を取るようになります。転倒と痛みでパニックになっているところへ、狂乱した親が大騒ぎしていたら、不安が山盛りになります。

逆に親がいつも落ち着いていると、子供はやはりその反応にふさわしい行動を取るようになります。

つまり、痛みという刺激に対してどんな反応を関連づけて整理させるか?ということです。
加えて、痛いこととその原因とを確実に関連づけていくことで、先に起きることの予想がつくようになります。だから、転んだ後で落ち着いたらどうして転んでしまったのかを子供に考えさせるのです。

実は、これは僕の持論ではなくて、哲学の教授が教えてくれた方法です。

全ての人間は天才の容量を持って生まれてくるのだそうです。大きな鏡のような、傷、曇り一つ無いのが子供の心なのだとか。
それに親や、周りの人間が少しずつ傷を付けていく。

大したことのない怪我や痛みへの、間違った反応や対処法

更に、

ウソをついたり、
騙したり、
私欲に走ったり、

そんな人の醜さを見せることも、細かな傷として鏡を曇らせます。
天才の容量を持った子供の鏡は傷の無いところが狭くなり、最後には普通の人になってしまうという考え方。

大人がどんなときも落ち着いていなければならないのは、子供達の判断基準となる反応は全て大人の物真似だから。言わずもがなだと思いますが、無関心でいることと冷静なのは違います。

仮に大きな怪我をしたとして、親が大騒ぎして何か状況が変わるか?
心配だからと取り乱したら、子供は不安になります。すると、その関連づけで以後も反応するようになります。親は、子供を気づかっているという態度と同時に、その問題への対処を冷静に行うことで、子供に正しい関連づけをさせることが出来ます。

間違っても親がやってはいけないこと。

泣いていてる子供を抱き起こして、だっこして、なだめすかして家に連れていき、おやつを食べさせて甘いモノでも飲ませて、悪いことは忘れさせ、そのまま寝させてしまうことです。

これがいかに悪いことなのか、もう分かりますよね。
原因と結果、そしてその反応の関連づけが無茶苦茶になります。

僕は、この積み重ねが大人になってからの積極性を妨害する

漠然とした不安

の正体だと思っています。
それが僕にも備わっているようなので、どうしても僕の所で止めたいのです。

やはり、子育ては親からというのは間違いありません。