日本では、出る杭は打たれるという諺通り、挑戦する人の足を引っ張る社会があります。
先日の有名音楽プロデューサーの事件も、成功したら憧れで、失敗したら
みんなであざ笑う
という有様。
再起するとしたら、世間はこぞって彼をイジメるのではないか。少なくとも、見た目はそれに耐えられそうにない繊細なタイプなので、これから先彼には過酷な人生が待っているのかもしれません。
彼のように失敗しなくても、実はこの傾向は同様です。
何かを興したいと考える。
そして実行する。
何でもそう簡単にはいきませんから、相当な苦労をします。
成功を目指す道ってのは、途中だけを見たら
負け犬
にも見えます。ただ、本人が負けていると感じているのなら、将来はないでしょうが、いずれにしても綱渡りは一緒です。周りの同世代がとっても豊かに見えたり、逆に、頑張っている人が自分以下に見える
“瞬間”
がかならずどこかに存在します。
心のどこかで、人の失敗を願い、挑戦出来ない自分を正当化しておきたいという心理もあります。
だから、
日本は挑戦者に冷たい (笑)
アメリカに居たとき、挑戦することに対しての、信じられないほどの許容力を感じました。
例えば、映画撮影用のカメラの、
パナビジョン
という会社があります。ハリウッドの大作もこのカメラを使って撮られます。
販売はしておらず、貸し出しのみ。
映画学生にとっては高嶺の花・・・・
と思いきや、
適切な手続きをすれば、ワンセット無料で貸してくれます。
それ以外にも、プロの映画制作に携わるカメラアシスタントは、毎日カメラを家に持って帰ってきます。
学生や、低予算映画監督はここに目をつけます。
アシスタントとはいえ充分な撮影技術があるわけです。すると、撮影のない土日にそのカメラとアシスタントを丸ごと要請し、映画を撮影します。若手監督は大助かり。カメラアシスタントは、自分の履歴書に書くことが増えるので、大喜び。フィルムは高いので、他人のお金で、他人のプロダクションで撮って、履歴書を充実させていくという、持ちつ持たれつの世界です。
当のプロダクションは、見て見ぬふり。
問題さえなければ、放置です。
保険の問題を考えると、何かあったときは恐ろしいですけどね。
そうして、その中からフィルムメーカーが育っていきます。
なぜ、パナビジョンやその他の制作関係者はカメラを使い回すことを黙認するのか?
それは、
「学生の中の誰が、次のコカコーラのCMを監督するか分からないから」
なのだとか。
つまり、先行投資なのです。
映画制作を馬鹿げたことと考えず、確立した産業として考えているからこそ出てくる発想です。
日本だったらどうか?
「タダで貸せだと? バカかオマエ。 世の中そんなに甘くねぇぞ」
と言っておいて、そいつが成功すれば細いパイプを伝ってすり寄ってくるなんてことがあります。
そして、吸えるだけ吸って、失敗すれば、
オレはあいつは絶対駄目だと思ってたよ。
なぜって、昔よく一緒にいたんだけどさぁ・・・
という自慢話を得意になってするんでしょうね。
この体質を変えないと、日本には勇気ある挑戦者が生まれる地盤は出来ません。
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