携帯電話が普及し始めた頃、映画を作っていた仲間と、
「携帯だらけになったら、映画は忙しくなる」
「撮影はとても楽になる」
そんな、矛盾した話をしていました。
アクション映画を見ていると、主人公は携帯電話を持ってアクションを続けながら情報収集をし、そこで得た情報を元に次のアクションを決めるという流れになってきています。「24」なんかは、携帯で情報収集しながらアクションが展開する典型的な映画(ドラマ)でした。
「24」 は忙しい映画でした。
撮影が楽になる、という要素は、登場人物が携帯を持って、すべてが終わってしまう映画も可能だということ。10カ所くらいの部屋でそれぞれが
あっちこっちに電話するだけ
の映画も出てくることでしょう。これでは面白くないけど、シチュエーションに凝れば、
色々な場所に閉じこめられた10人の男女が、携帯を駆使して自分たちの居場所を突き止め、脱出する。
そんなスリリングな話も出来るかもしれません。
ストーリーは10人全員が電話で会話をするという設定だと言っても、
一つの部屋の撮影には、俳優1人いればいいわけです。
スケジュールは、一人ずつの役者の時間を押さえるだけ。
おそらく、映画の導入場面で10人の関係が分かるシーンを入れ、エンディングで10人が無事を喜ぶというシーンが必要かもしれないけど、そこも、
10人はそれぞれ遠い場所に居た!
この犯人の目的はなんだ?
なんてシチュエーションなら、エンディングも携帯で、各人バラバラの場所で作れそうです。
そうすれば、本当に一度に何人もの役者を演出する必要がなくなる!
一度に何人もの役者を必要とするシーンが多ければ多いほど、
同時に必要なキャストの、全員のスケジュールを押さえる
という、超面倒くさい調整が必要なのです。あっちを立てれば、こっちが立たず。
一人の役者が閉じこめられるという設定なら、照明も衣装も、一度決めてしまえばそのままいけます。
疲れていくというメイクを施す、汗で汚れていく服の表現は、演出に関わってくるから凝る必要があります。
とはいえ、一回の撮影に一人の役者だけなんて、夢のようです。
たとえストーリーの中では、誰か別のキャラクターから電話がかかってきたとしても、そこは所詮電話ですから、かかってきた電話を取るフリをして、後から呼び出し音や相手の声を入れればいいだけ。
部屋が10部屋いるかというとそうでもなく、一つの部屋の飾り付けを変えるだけで、何部屋もの撮影が出来ます。
全く動きのない、しかもお互い遠く離れた部屋を繋いで、一つのストーリーを組み立てることは、携帯電話が出現する前は、念力くらいしか使えませんでした。
新しい、携帯という道具を色んな視点で見てみたら、映画をものすごい小予算で、少人数で、短期間で制作できてしまいます。
しかも、今はビデオカメラが驚くほど高性能。
携帯で映画も変わりそうです。
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